聞いてたいだけ。
同窓会。
久しぶりに彼に会った。
私の髪は、伸びたけど、彼の髪には、ペターっとワックスが塗られた。
かっこよくなったじゃん。
だけど、無邪気な笑顔は、変わらない。
坊主頭だった頃の君がくしゃって笑うのを思い出す。後ろの黒板の時間割、ベージュのカーテン、美術の授業で机が全部前向きの時は、なんだか特別な気がしたなあ。誰かがいたずらで押す非常ベルを、いつか押してみたいなって思ってたことまで思い出したところに、ビールが来る。
私たちは、お酒だって飲めるようになった。
乾杯の音頭ってものも知ったし、それをお世話になった先生になんか頼んだりして、こんなもんかな。って、気取ってみたりした。
彼は、ごくっとビールを一口飲んだ後、爽快そうにぷはあーと言って、とんとんって箱をたたいて取り出したタバコを、ぼっと灯った火にかざした。
タバコも吸ってるんだあ。大人だね。
そうだよね、だってあれから4年間も経った。
知らないことなんて沢山あるよ。
それから後は笑うだけ。
彼が笑うのをみて、一緒に笑うだけ。
それがとても居心地が良くて、自然だった。
私は、問題をたくさん抱えてるし、おしゃべりが好きだし、ワガママだし、話したいことだってあるよ。
だけど、そんなのどうだっていいの。
聞いてたいだけ。
それが私にとって自然で居心地が良いの。
君は酔っ払ってたから、忘れてるかもしれない。
私の前髪をくしゃって撫でたことを。
だけど、私は今でも思い出す。
ずるいよってドキドキしたことを。
(昨日のほろ酔いの時に書いたもので、恥ずかしいけど、ここは私のスペースだから公開してみる。もし読んでいる人がいるのならば、フィクションであると信じてほしい。)