sumatra and cinnamon

私の好き勝手な空間。想いと知恵と発見をつらつらと。

十字架/重松清

中央線 中央特快 東京行き

ぼとん。っと
本の落ちる音。

前に座っているおじさんが本を落とした。

すかさず拾う。

水色の表紙
《十字架/重松清

おじさんに親近感が、湧く。

私もこの本読んだことある。

これは、いじめと自殺の話。

私は昨日いじめによる自殺の記事を授業で読んだ。
いじめに加担する教室。
棺桶の中の自殺した子を写メる小学生。
ぞっとした。

だけど、重松清の書くいじめは、
新聞記事のように、誰かを
信じられない悪もの。
にしようとはしてない。

自殺した少年
少年の父
少年の母
少年が、片思いしていた少女
いじめをしていた少年
いじめの現場だった学校
記者

それぞれの気持ちが、
わかるよ。と理解できる。

でもいじめってそうゆうものなのかもしれない。
誰か悪ものがいるわけじゃない。

やむを得ない。
とは、言いたくないけど、
加害者だって、なにか辛いことがあったんだ。

だけど、実際は、そんな風に思えない。
加害者は、やっぱり悪ものに見える。

私もいじめを受けたことがある。
辛い。というより、暗かった。

いじめている人、
いじめられてる人、
それを見てる人 からは、
やっぱり黒い空気が漏れるから
教室は、暗かった。

重松清との出会いもちょうどこのころだった。
《きみの友だち》
という本だった。

私は省かれないように上手に笑った。
みかんの種を投げられても、いじめと認めたくないから、もう!って怒って笑った。

小6の時点で、だいぶ人間はずるくて汚かった。


「わたしは「みんな」を信じない、
だからあんたと一緒にいる――。」

きみの友だちの中で主人公のいう言葉だ。

私も、あんた が欲しかった。
けど、どこにいても落ち着かなかった。
みんながみんな、自分を一生懸命守ってた。
教室には地雷がたくさん落ちているから、
人の話なんて聞いちゃいられなかった。

だから私は好きだった。
授業中にある子のノートを覗くのが好きだった。
なんでだろう、それが一番落ち着いた。

《きみの友だち》をよんで、
クラスのみんなは、それぞれの変な事情を抱えていることがわかった。

私は毎日もらう手紙をひたすらに破った。
人の秘密と難しい人間関係を破った。
なにもかわらないけど、すっきりした。

あんまり話さない、いじめの話。